MicrosoftからHoloLends 2 がリリースされた。Hololendsはマイクロソフトが名付けた仮想現実と現実とをミックスした「複合現実」(Mixed Reality)という世界をホログラムを通じて作り上げるという大きな野望である。
MMWC Barcelona (Mobile World Congress) のモバイルワールドコングレスに伴う発表イベントで、マイクロソフトのプレゼンテーション全編を見たが、驚くべきことにすでにホログラムはすでに実用段階に来ている。実際に米企業ではいくつかが製品のプロトタイプの作成や不慣れな作業員のトレーニングにすでにホログラムを採用し、膨大なコストを削減しているというのだ。もっとも驚いたのはホログラムのヘルメットをかぶると全関節を認知し、実際にホログラムに触れているかのようにふるまうことができる点だ。3Dの仮想世界で遠隔地の人たちが同時に作業できるなんて、「まるでどこでもドア」のようだ。
Microsoftは視野角1度につき「1度あたり47ピクセル」を損なうことなくHoloLens 2の視野を2倍に広げているとしている。 これは人間の目で差がわかる限界値60ppdに近づくもの。
技術的仕様もさることながら、気になるのはマイクロソフトがオープンなエコシステムを実現しようとしている点だ。このエコシステムについてはギズモードの記事に詳しいが、ホログラムがもっと浸透すれば、今後はミーティングも単に今のようなビデオ会議だけでなく、全身が写り込むようなまったく新しいテレプレゼンスが可能になる。テレプレゼンス(Telepresence)とは「遠隔(tele)」と「現前(presence)」を組み合わせた造語で、遠く隔たった時間や場所に存在するはずのものが、あたかもそこに現前しているかのような感覚のことを指す(現代美術用語辞典より)。ひいては、遠隔地の映像や音声を即時的に伝える技術の総称で、テレビ電話もこれにあたる。新しいテレプレゼンスはどのようなものかというと、ホログラムを映し出すことにより、バーチャルな複合現実空間を作り出すことにより、遠隔地の人も会議に参加したり、製品のホログラムを見ながら協議を行うといったことが可能となるのだ。メーカーだけが対象ではない、たとえば音楽のリハーサル。遠隔地にいるアーティストが複合現実をつかってリハーサルやギグを行うこともできるようになる。または通訳や同時通訳。現在でも電話通訳など遠隔地における通訳は採り入れられてはいるが、表情や現場の雰囲気がその場の空気を読むのに大切となる通訳ではやはり電話では限界がある。ホログラムにより通訳をその場に投影することができれば、多くのコストや労力を削減できる。またゲームも実際にそこにいるようなゲーム環境だって作り上げることが可能だ。
前回の初代HoloLendsと比べてずいぶん進化しているようだが、エンタープライズに限定されているこのサービスがさらに一般に浸透すればさまざまな可能性が期待される。
サービスの進化がどう進むか、楽しみである。
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